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江戸川乱歩傑作選

 

 江戸川乱歩傑作選 

 

「江戸川乱歩傑作選」は短編で9作品

 

密室ミステリー「D坂の殺人事件」。

「心理試験」「屋根裏の散歩者」は明智小五郎が謎を解く。

サスペンスホラーの「人間椅子」。

グロテスクホラーの「芋虫」。

 

など、どれも一度読んで欲しいと思う作品集です。

 

江戸川乱歩傑作選

 

江戸川乱歩傑作選」は、江戸川乱歩の短編小説を集めた作品集。
写真の文庫本は、昭和35年発行で、昭和58年40刷の30年以上前に320円で買ったものです。
活版印刷でしかも文字が小さく、オヤジには読みにくい本です。
現在では装丁も価格も刷新されています。

 

 

■二銭銅貨

江戸川乱歩のデビュー作
謎解きの中でも「暗号」を題材にした作品です。
推理好きな男二人による推理対決のような内容。
ミステリーらしく、どんでん返しがあるのも見ものです。
また「読者諸君」と問いかける小説スタイルは、当時(大正12年)としては斬新だったかも知れません。

 

■二癈人

ある宿屋の主人とお客、登場人物は二人の男だけ。
宿屋の主人は、夢遊病である過去の忌まわしい話をお客に語る。
話し終えた主人は、そのお客からある可能性の話を聞き驚愕する。

 

■D坂の殺人事件

明智小五郎」が初めて登場する小説。
ミステリーの題材は「密室」。
開放的な家屋ばかりの大正のこの時代、江戸川乱歩は苦心して密室状態を作り上げる。

 

1店の本屋が何か気になり、ずっと眺めていたミステリー好きな主人公。
そこで起こってしまった殺人事件。
主人公の知人として登場する明智小五郎。
主人公が「読者諸君」と問いかけ、犯人は明智小五郎であると特定したのだが。

 

■心理試験

お金持ちの老婆殺し事件の謎を、明智小五郎が解決していく。
頭の良い学生である犯人目線の話から始まるので、いわゆる犯人当てのミステリーではない。
刑事コロンボ」スタイルです。
犯人らしき人物を捕まえていたが、いまいちしっくりこない判事。
犯人らしき人物と、もう一人の犯人かもしれない人物の心理試験を行う。
その結果だけを明智が見て犯人を特定する。

 

■赤い部屋

「二癈人」と同じように、限られて部屋、限られた人数の設定の中で起こった出来事。
世の中の事柄に退屈している7人が、刺激のある話を分かち合う集まり。
今回は、新入会員のT氏が話を披露する事になっていた。
ところがこのT氏は、とんでもない犯罪者だった。
それはあ然とする話ばかりで、そして話に引き込まれていく6人。
話を終えたT氏の身にとんでもない事が起こった。

 

■屋根裏の散歩者

全ての仕事や遊びに興味を持てない郷田という男がいた。
しかし郷田は明智小五郎と出会い、明智の推理小説の話や犯罪の話にとても興味を引かれる。
新築の下宿に引っ越した郷田は、ある時押し入れから屋根裏に行ける事に気付く。
誰にも知られる事とのない屋根裏で、ふと完全犯罪を思いつき、実行せずにはいれられなくなった。

 

■人間椅子

ドラマ化や映画化もされた「人間椅子」だが、それだけショッキングな内容。
ホラー小説の部類に入るかも知れないが、映画では官能部分も描かれているようだ。

 

夫が外務省で働き、その妻佳子は美しい作家でもあった。
そんな佳子に手紙が届く。
ある優秀な椅子職人が佳子に当てた、懺悔でもある告白の手紙だった。

椅子の中に人一人分のスペースを作り、椅子職人自らが中に入り、納品される。
始めはホテルで使用されていたが、後に佳子が家で使う事になった。
その椅子に座ると、椅子職人の膝の上に佳子が座り、椅子職人の顔の辺りに佳子の首筋あるような、椅子職人が佳子を抱きかかえるような格好だった。
その手紙を読んだ佳子は真っ青になり・・・

 

■鏡地獄

一風変わったホラー小説とでも言えるのでしょうか。
「赤い部屋」のように、一人がとつとつと語っているスタイルの小説。
語りとは、レンズや鏡に魅了された「彼」がいた。
家の資産を自由に使えたため、自分の道楽に没頭していく。
ガラス工場を建て、技師も雇うが、全て自分の道楽のためにだった。
最終的に「彼」は技師にある物を作らせたのが、それが「彼」にとっては・・・

 

■芋虫

「江戸川乱歩傑作選」の中で一番の問題作品。
出版時は伏せ字が多く、戦時中は発売禁止になっています。
グロテスクホラー官能小説

 

戦争で顔の原形を留めないほど負傷し、聴力のほか手足さえも失った須永中尉。
その姿ゆえ、親にさえ敬遠され、妻の時子のみが世話をする。
逆にその姿のために、時子の心は刺激され須永に激しく求めていく。
たった二人だけの世界に浸っていたが、須永中尉は・・・
おぞましくも切ない小説でもある。

 

 

私の原点

江戸川乱歩傑作選」は、私の読書の原点とも言える一冊です。

 

中学生時代、少年探偵団・怪人二十面相シリーズを、学校の図書室で借りて、友達と競って読んでいました。
少年探偵団・怪人二十面相シリーズは40冊くらいあったでしょうか。
中にはずっと貸し出し中で、とうとう見る事がなかった本もあり、全巻制覇はできませんでした。

 

怪人二十面相シリーズでは「サーカスの怪人「青銅の魔人」などが特に印象深いです。

 

「江戸川乱歩傑作選」は、江戸川乱歩の作家初期(大正後期)の頃の作品ばかりです。

ですが、今読んでも古さは感じない。

しいて言えば、言葉が昔の言い回しだったり古い漢字だったり、今では差別用語として使われていない表現があるので、そこだけは古さを感じざるを得ないです。

小説の内容とは、また別の部分の印象ですが。

 

江戸川乱歩の入口としては、ぜひお勧めしたい一冊です。

 

 

 

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