フォント:デジタルの書体・アナログの写研
印刷のための文字
デジタル化が進み、PCで使える書体の種類も無数に増えた感じがします。
文字(書体・フォント)は、少し前は印刷のためのものでした。
新聞や雑誌、書類や名刺、世の中の印刷物全てにフォントは使われています。
でも近年はペーパーレスと謳われ、文字はモニター(ディスプレイ)に表示し、印刷(プリント)しない場面が多くなってきています。
モリサワと写研
パソコンが利用できる前の、印刷するためのアナログフォント時代。
印刷する文字は、大手2社「モリサワ」「写研」のほぼ独占時代でした。
広告などのデザイン系は「写研」の圧勝といっていいかもしれません。
フォントデザイン性は、どちらも優れているからこそ2強の時代が続いたのだと思います。
新聞は各社独自のフォントを持っており、モリサワや写研のフォントは使わないのですが(広告は除く)、一般の印刷は、モリサワか写研のフォントを使っていました。
この時代の書体(文字)は、印刷することを前提にしたフォントでした。
印刷をすると、インクや印刷方法で文字が痩せたり太ったりすることがあります。
印刷のことまでを考えられているフォントデザインになっているのです。
また、フォントのデザインにはそれぞれ特徴があり、特許を持っている書体もあります。
Mac登場
一時代を築いた「モリサワ」と「写研」ですが、
そんなメーカー名は聞いたことがない人がほとんどかも知れません。
転換期はアップル社のマッキントッシュの登場でした。いわゆるMacです。
始めMacは、デザイン系には使用されていたものの、印刷関連には使われていませんでした。
日本語のフォントが基本的な数種類しかなかったためです。
それはモリサワのフォントでした。
紆余曲折がありながら、MacやWindows用に少しずつ日本語フォントが増えていき、
やっと印刷の仕事として使用できる段階へ徐々になっていきます。
印刷は、専用の編集機からMacやWindowsを使うDTPへと移り、デジタル印刷へ変わっていきます。
モリサワも時代の流れに乗りながら、フォントのデジタル化に取り組みます。
でも、現在では多くのフォントに埋もれ、モリサワは印刷業界の人しか知らないメーカーなのかも。
写研の顛末
さて「写研」はどうしたのか。
写研のフォントは多くのデザイナーに好かれ、もてはやされていました。
でも、写研のフォントはデジタル化されることはありませんでした。
写研はフォントを自分だけで抱え込み、誰にも提供しない選択をしたのです。
アナログフォント時代は終わり、今はほとんど使えない状態です。
写研のフォントは富士フイルムが買う噂がありましたが、そうはなりませんでした。
写研の女社長は独裁者でした。(ある新聞記事から知った情報です)
社長に意見を言ったら解雇になるため、誰も何も言えなかったようです。
また女社長は、100億だったかの所得を隠し、さらに時効になったため税金も払っていないという不祥事も。
どうやらフォントも金も独り占めしたいようです。
写研のフォント
現在の印刷は、デジタル化が進み、凸版や平版などを使わずに(※)、データから印刷する方式も徐々に増えています。
写研のフォントがデジタル化されたら、デザイン会社は持っているフォントを破棄して写研のフォント使うでしょう。
タダのような安いフォントを使わずに、高額でも写研のフォント使いたいところがまだ多いはずです。
そうなれば業界が一変するかもしれません。
それ程影響力のある写研のフォントシリーズだと思います。
滅多な事は言えませんが、あの人がああなった場合は、写研のフォントはデジタル化の流れになるように思います。