今さらアーバンプレス(3):Urban Press
『アーバンプレス(Urban Press 3.0)』は、1990年代に発売された、純国産のWindows用本格DTPソフトです。
DTPとは「desktop publishing」の略で、卓上出版の意味。パソコンで印刷物のデザイン、編集・組版、版下作業などの一連の作業を机上で作成、印刷することです。
DTPソフトは「InDesign(インデザイン)」「Quark XPress(クオークエクスプレス)」などがメジャーです。ただ、日本語DTPと考えた時には、純国産のアーバンプレスに意味があります。
専用機から市販ソフトへ
アーバンプレスなどのDTPソフト(組版ソフト)がない過去の印刷工程は、デザインする人、素材を作ったり加工する人、文字を打つ人、版下を作る人・・・など、仕事が分業化していて、さらにそれらが別々の会社だったりしていました。
パソコンが登場し、組版ソフトが市販化され、数百万円掛かった業務用組版機が数分の1、数十分の1で揃えることが出来るようになり、特に小さな会社の現場は一変しました。
私が起業できた1つに、アーバンプレスがあったからと言えます。
▲アーバンプレスの表パレットの初期ウィンドウ
今回もアーバンプレスの機能を紹介します。
■表組み
アーバンプレスの「表組み」は標準装備です。
ただ、Excelのデータをコピペ、などという芸当はできません。「印刷」まで考えているアーバンプレスと考えていないExcelでは、必然と使い方が違います。
まず、文字枠を作り、その中に表の寸法を指定して、セル情報などを出来るだけ細かく設定します。
文字の大きさや揃えは、段落書式で前もって作っておけば便利。
線の太さを決めたり、文字はセル単位で細かく指定できるので、奇抜な表でなければほとんど負荷なく作れます。
表に入るテキストは、前もって入力しておきましょう。
もし、同じ表組スタイルの連続だったら、雛形を1つ作り、そこにテキストを流せば雛形が自動的にコピーされ、一気に表組みが完成します。
ただし、表のサイズ変更や、行・列の増減の直しは、手作業になるため、スピーディに修正できると、アーバンプレスは言いがたいです。
でも、「Illustrator(イラストレータ)」で表を作るよりは、個人的には使いやすいです。
■飾り罫・地紋
アーバンプレスには独自の飾り罫と地紋がセットされています。飾り罫は200種超、地紋(パターン)は50種弱。
グラデーションや写真も地紋のように入れられるし、影付き文字などの文字飾りも多彩なため、いろいろな見出し(タイトル)が作れるので、広報誌とかには重宝します。
「Illustrator」の飾り罫(ブラシ)は“線”としての扱いですが、アーバンプレスの飾り罫は“文字”としての扱いに近いです。
これは、組版としての写真植字機の流れから来るものだと思います。そのため組版に慣れていない人は、始めは扱いにくいかもしれません。
またアーバンプレスは、DTPソフトとしてはいち早くベジェ曲線にも対応しているため、図形を描けます。
Acrobat登場
アーバンプレスは過去のソフトです。それに替わる新しいソフトも模索してきました。でも、なかなか納得のいく(市販の)DTPソフトが見つからず、とうとう今日まで来てしまいました。
ただその反面、「Acrobat」が進化し続け、PDFファイルが標準化したことにより、印刷データが多様化され、アーバンプレスの買い換えに歯止めが掛かったこともあります。
Windows 98から7へ
OSの変化も大きな問題でした。
弊社のPCはWindows 98から始まり、Windows 2000、Windows XP、Windows 7と使ってきました。
ただ、Windows 2000に替えた時、フォントとの相性が悪かったのか、約物の組版が崩れる現象が起きたため、数日でWindows 98SEに替えたこともありました。
また、Windows 7へ替える時は、日本語の一部の文字表記が変わるため、業界内でも導入の二の足を踏んだ企業が多かったようです。
この時、アーバンプレスと相性が悪かったら「InDesign」に買い換えていたと思います。でも今なら「InDesign」じゃないと思っています。
今さらアーバンプレス
アーバンプレスが発売され20年。バージョンアップもサポートも全くない状況で使い続けています。
未だに使っている会社も案外、そこそこあるかもしれませんね。
でも、今さらアーバンプレスの紹介ブログを書いて、読む人がいるのでしょうか…。
【続くかも】
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