今さらアーバンプレス(4):Urban Press
『アーバンプレス(UrbanPress)』は、1997年に発売されたWindows用DTPソフト。
今さらアーバンプレスの紹介、その4てす。
【日本語組版に強いアーバンプレス】
アーバンプレスは、縦組み、横組みの組版はお手の物。DTPソフトだから当然ですが、純国産ソフトなので、日本語処理機能が豊富です。
6種類のルビ設定、下線・取り消し線や傍点の追加も楽なアーバンプレス。
行と行をまたがる割注も自動処理され、ドロップキャップの設定も簡単です。
■ガイドライン
ページ物の組版作業には、ガイドラインは重要です。
本のページをめくる度に、文字の始まる起点がバラバラなら、見づらいし美しくありません。そんな組版はプロの仕事ではありません。
柱やノンブルの位置、文字の大きさや行間など、紙の寸法によって読みやすい組版があります。
アーバンプレスで編集する場合、文字枠がずれたりしないようにガイドラインに吸着固定し、マスターページでしっかりベースを作りましょう。
スペースを有効に使うデザインにすると、美しい組版になります。
■保存・バックアップ
アーバンプレスは、自動保存機能はないので、定期的に保存してあげましょう。
手間の掛かる作業に限って、保存し忘れ、後で痛い目に遭ったりします。
今のソフトは少ないかも知れませんが、アーバンプレスは、保存時にデータファイルとは別にバックアップデータを作ります。
アーバンプレスのデータファイルはとても軽いので、ハードディスクの負担にはなりません。
■アーバンプレスのチュートリアルデータ。練習用に5ファイルほどあります。
■図形文字
アーバンプレスの組版は、文字枠を作りテキストを流します。
字面を修正する場合は、文字枠の寸法を変えますが、文字枠をドラッグするか寸法の数値を入力し字面を変えます。
その時、文字枠の変更に応じて文字の大きさも変化したら、組版の崩壊で、DTPソフトとしてアウトです。
でも一方で、チラシや広告作成の場合、デザインや文字の大きさなどは、見た目の感覚でどんどん変更してきます。
文字の大きさを数値で変更していては手間で、DTPソフトでは作っていられないということになります。
アーバンプレスの場合、「図形文字」を有効に活用します。
最初に文字組の要領で書体や大きさなどを設定、アーバンプレスが独自に持っている文字飾り(影付き文字など)も必要に応じて設定します。
アーバンプレスはベジェ曲線の機能があるため、描いたベジェ曲線に文字に沿わしたり、エンベロープパレットで機能を追加し、Illustrator(イラストレータ)のように文字の自由変形も可能になります。
■ユニコード対応
ユニコードとは、1995年に制定されたJISの「国際符号化文字」。
アーバンプレスは1997年の発売時、既にユニコードに対応していたため、JISコードにはない外字が使えたり、中国や韓国の文字組もできる。
外国語を使わないにしても、記号類も豊富なので外字のソフトを別途用意しなくても、ある程度すんじゃいます。
■TeX処理
TeX(テフ/テック)とは、数式に強い組版処理用のソフト。
アーバンプレスは、数式処理が可能な約100種の関数を用意しているため、面倒な数式組版も可能です。
でも残念ながら、私は使ったことがありません。TeXの記述方法を知っていれば、分数やルートなのど数式が簡単に組版ができるようです。
【おわりに】
アーバンプレスがメジャーにならず、販売中止になったのがとても残念です。
どのソフトにも一長一短はありますが、一短のほうが目に付いたという事なのだろうか。単に販売戦略が良くなかったのかな・・・
【続くかな?】
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